「小さな森 と 森の遊具」

1つめの目的は、幼稚園のキャンプ場にあるアエルの森と幼稚園をつなぐ中間地点をつくること。園舎には、内部と外部をつなぐ半外部としてのデッキがあります。園庭にも、幼稚園とアエルの森をつなぐ半自然な空間が必要だろうと考えました。新園舎の前は、芝生を敷き「ナンキンハゼ」を植えています。これはアエルキャンプ場にある芝生の広場と同じ環境です。森の中には、アエルの森にもある「けやき」や「やまぼうし」を植栽しています。「うりはだかえで」はアエルの森から移植しました。これらの木々を日々見ることによって、野外活動やキャンプでアエルの森に行った時に「あっ、幼稚園と同じ木や!」とか、帰ってきてから「アエルの森は今頃どうなっているかな~」と思ってもらえたらと考えています。

 

2つめの目的は、四季を通じてひとつの木を様々な角度から見るということです。今回の遊具はあえて通路を段々にしています。木を見る高さも変われば角度も変わります。これを思いついたのは、数年前に見たテレビ番組がきっかけでした。内容は、生態学者が熱帯雨林の林冠を研究する為に、樹間にロープでウオークウェイを作り、植層の高い所にいる動植物の生態を観察するというものでした。とても高い木々の間に沢山のロープが張られ、そこを歩いて移動する様は壮観です。また、木々を上から眺めるのもとても新鮮なことでした。今回の規模は到底そこまでいきませんが、少しでもそんな経験をしてくれたらと考えています。

 

3つめは、森の中で思いっきり遊んで欲しいということです。広さは決して十分とは思いませんが、木漏れ日の中、色々な木々の匂いの中、様々な色の葉っぱの下で思い思いの遊びを楽しむことができたら、幼児期の大切な記憶になるのではないかと考えます。



さいごに(はじめに)

この建築は、これで完成ではありません。終わりでもありません。始まりです。新しい豊中文化幼稚園の保育を考える始まりです。建築は人が使ってこそ建築として成立します。建築雑誌で見る竣工写真はおもしろくありません。なぜなら、そこにはほとんどの場合人がいません。生活が見えません。匂いも感じません。これからこの大きな家で子ども達が遊び始めます。新しい生活が始まります。様々な音もするでしょう。様々な匂いもするでしょう。雨漏りもするでしょう。これからが本当の建築です。保育の建築です。新しい園舎を使い、新しい遊具を使い、どんな保育が展開できるのかとても楽しみです。「南棟」も「北棟」も、「家具の森」も「森の遊具」もこれからスタートです。